陰徳が運命を変える

私たちは、お陰様のお働きで生かされています。お陰様に「有難うございます」と感謝すると、心が喜びに満たされて、当たり前の生活がとても喜びに満たされて、幸せを感じます。
さらに、もう一つ進んだレベルになると、「ああ、有り難くて、勿体無い、本当に結構なことだ。何なりとお返しさせて頂かなくては、申し訳ない」報謝の思いになります。
この思いから、天地の御恩に報いる報恩感謝の行いとなります。天地の御恩といえば壮大ですが、要は自分の命を生かして下さっている「大いなる存在」に対して、お礼に何かお返しをさせて頂く行いです。

実は、この報恩感謝の思いから発する真心の行いは、とてつもない天の恵みを頂戴する結果となります。天草弁でいうと、どんどんのさるようになるということです。
それは、どういうことかというと、「大いなる存在」への報謝の行いは、人の知らないところで人を助ける行いや、人を喜ばせる陰徳行となります。
陰徳とは、だれにも分からず善行を行い、陰で人をたすける行いですが、この陰で行う善行こそが、どんどん幸運にのさる秘訣となります。

ビートたけしさんの陰徳行

 タレントとしても、アーティストとしても、有名なビートたけしさんですが、ある時インタビューで、成功の秘訣を尋ねられた時のお話が、私たちにとても大切なことを教えてくれる内容だったので、ここにご紹介します。

ビートたけしさんの成功の秘訣は?

『自分は、くだらない番組をやっていても、どういうわけか視聴率が上がる。自分が書いた小説は、なぜか売れていく。描いた絵が美術館に飾られたりもする。映画も、自分の楽しみとして作ったら、グランプリに選ばれもした。
自分としては、好き勝手にやっているだけで、人よりも才能があるとは思えない。でも、何をやっても全部高く評価されてしまう。おかしい。いくら考えてみても、自分の才能で、それらがやれるわけがない。
ただ、心当たりは、たった一つだけある。それは、若い頃に、師匠に「トイレをキレイに掃除しろ」と言われてから、30年以上ずっとトイレ掃除をやり続けてきたこと。ロケに行ったときなどは、公園のトイレがグチャグチャでも、自分が使ったあとは、必ずキレイにする。時には、隣のトイレまでキレイにして出てくることもある。もちろん、掃除道具を持って歩いているわけではないので、トイレットペーパーを使ってとか、ないときは、素手でもやる。そういうことを30年以上もずっとやり続けてきた。自分には才能があるとは思わないのに、なぜかもてはやされるのは、もしかしてトイレ掃除の効果かもしれない。』

ビートたけしさんは、師匠に言われたことをそのまま実践しただけなのですが、それが結果として「大いなる存在」からどんどん後押しされて、知らないうちに幸運の波に乗っていたということです。
それは、ちょうどサーフィンにように、大波に逆らわずに乗ると、何の苦も無くどんどん運ばれていくようなものです。
普通の人は、自力で、知恵、才能、必死の努力をして、幸せになろうとします。しかし、自分の力などたかが知れています。「大いなる存在」の後押しがあれば、自分ではできないような不思議な巡り合わせや、良縁に恵まれて、とんとん拍子に物事が上手くいきはじめます。
ここが、幸運になる人とそうでない人の違いです。そして、幸運を引き寄せる最大の秘訣は、だれも知らないところでコツコツと陰徳を積むことです。
トイレ掃除を人知れず30年やってきた結果が、自分の成功の秘訣だと思えるというビートたけしさんの言葉は、真実です。私たちは、そこから、普段は気づかない、本当に大切なことに気づかされます。