一粒万倍の世界

「一粒万倍」という言葉があります。
農事を営む人にとっては天然自然の理の働きを端的に表す分かり易い言葉です。
一般の人にとっては、一体どういう意味だろうと思うかもしれません。

例えば、一粒の籾種(もみだね)を春に蒔くと、その年の秋にはその稲穂に100~200粒の種が生ります。
翌年の春に、100粒の種を蒔くと、その秋には100本のの稲穂に10000粒以上の種が生ります。
翌々年の春に、10000粒の種を蒔くと、その秋には100万粒以上の種がなります。
これを「一粒万倍」といい、どんどん伸び栄える天然自然の理の働きを分かり易く教えるお話です。

これとは真逆の現象があります。
体内にガンの腫瘍が発見されたとします。
最初は小さなものだったのがみるみる大きくなります。
やがていろんな部位に転移して、身体機能が損なわれます。
そして、ついに生命を損なって人体と共に死滅してしまいます。

この2つの違いは何か?
前者は、命を生かそうとする働きで、後者は命を殺そうとする働きです。
私たちの生命は、1つの受精卵からはじまり60兆個に細胞分裂してできました。
「一粒万倍」どころではなく「一粒兆倍」です。
その命が100年近く生きつづけるのです。
これが、自然の働きです。
しかし、ガン細胞は、真逆の不自然な働きをします。
正常な細胞を食って増殖し、わずかの年月で全滅するのです。

周りを生かそうとする細胞と、周りを殺そうとする細胞がある。
それは、人の心や生き方とも重なります。
人とたすけ合って生きると伸び栄え、人を苦しめると行き詰まり途絶える。
人は、どちらの心も使えて、どっちの心を使う方で、人生が変わります。
「一粒万倍」の生き方が、みんなが幸せになる生き方です。